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AI NEWSLETTER Vol.07 効果的な人材育成を考える 〜本当に人が育つには何が必要なのか? – OCTOBER , 2017

24 7月.2019

AI Newsletter第七回です。今回は「人材育成」について考えてみたいと思います。

効果的な人材育成を考える 〜本当に人が育つには何が必要なのか?

人材は「仕事の中」で育つ
人材育成における有名なリサーチの結果として「70:20:10の法則」というものがあります。これは社会人がどのように成⻑するかを調べたもので、人材育成に寄与するのは「7割が業務、2割が他者からの指導、1割が研修」という結果を示しています。つまり我々の能力の向上は多くは現場での経験から の学びによってもたらされているわけです。これは多くの皆さんの実感値とも合うものではないでしょうか。

但し、何となく現場で仕事をしていても成⻑には繋がりません。大切なのは、「成⻑につながるような経験」を意図的に与えていくことです。「ストレッチ経験」という言葉があります。今の能力では少し届かないけど、頑張れば何とか届く、というチャレンジングな業務経験の事です。こうしたスト レッチ経験を、上司は部下に与えていく必要があります。

気を付けるべきは、そうした育成の「意図」を部下にもきちんと伝えることです。意図を伝えずにストレッチ経験ばかり与えてしまうことは、「この上司は私を苦しめようとしているのか」という誤解を与えてしまいます。意図的に難しい経験をしてもらうことは、その人に期待をしているからであり、 また能力向上に努めることが本人のキャリアのためにもなる、という事を明確にコミュニケーションしましょう。

「能動的」な学習姿勢への転換
しかしながら、現場のOJTに任していると、時として「何もしない」ことになりがちです。人事やマネジメントに携わる人は、やはり意図的に研修のような学び場を仕掛けていくことが必要になります。人材育成研修は、経営にとって時間とお金のかかる大きな投資です。当然、会社としては「積極的に 学んでもらい、投資対効果を上げたい」と考えるわけですが、なかなか狙った効果を生んでいないケースも散見されます。

図表は、「学習の定着率」を表したものです。上部にある「講義」「読む」などは「受動的な学習方法」と言われ、学んだものの多くを忘れてしまうそうですが、タイでの研修の風景には、テキストを配って先生が講義してオシマイ、というものも少なくありません。タイの学校教育のやり方の影響が大きい、ということも聞きましたが、企業にとって人材育成は「投資」ですから、人材育成のやり方ももっと進化していく必要があります。

最も効果的な学びかたは、「人に教える」ことです。研修を行ったらそれをチームに 持ち帰って後輩の指導をさせる、等をすることです。そうした業務と接続された能動的な学習プロセスを作っていくと、研修が研修で終わらない効果を生みます。


人の育成は「関係性」の中にある
また、会社の仕事はチームプレイですから、個々の人材力以上に組織力が重要になります。サッカーに例えると、いくら優秀なプレイヤーがいても、パスが繋がらなかったり、戦術の理解が一致していないとゴールまでボールが運ばれません。会社の仕事も、優秀な人が組織の中で埋没していたり、問題のある上司の下にいる高評価人材が辞めてしまったり、といったことは起きていないでしょうか。

こうした関係性の改善を図ることを組織開発と呼びます。誰かを研修に送るといった「個」の視点でだけでなく、より全体の「関係性」を見た施策を打つことです。例えば、チームの相互理解を図るコミュニケーションや、理念や方針を伝える活動などがそれにあたりますが、適切なデザインをして実施すれば、かなり効果があります。弊社は社員合宿を支援することがありますが、日本人とタイ人が腹を割って話したことにより、風通しが良くなり連携が急によくなったという話もリアルにあります。それくらい人間の気持ちはパフォーマンスに影響するのです。

最も学ぶべきはリーダー
最後に、そうした関係性のボトルネックになっているのが、日系企業においては日本人であることが非常に多い、ということを明記しておきます。日本人同士で固まっていたり、日本語でしか話をしなかったりする日本人リーダーはいないでしょうか?自分は変わろうとせずに相手に変わることを期待することを、日本語では「他責」と言います。リーダーが他責では組織は決して良くなりません。

人材育成に熱心なグローバル企業では、「ポジションが上がれば上がるほど研修が増える」傾向にあります。その人物の一挙手一投足が組織全体に影響を与えるわけですから、その人を育成することが会社にとっては非常に重要な活動になります。しかしながら、人間というのは年を取るとなかなか学ばなくなります。ゆえに、実際の日系企業では、マネジメント層である自分たち自身の教育というのは手薄になりがちなのではないでしょうか。海外法人の経営を考える上で、見過ごされがちな点だと思っています。

リーダーも、メンバーも、一緒に育つ。そうした意識を持って、よりよい組織づくりを目指していきたいものです。

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