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そう、男と女はすれ違う

11 4月.2020

「妻のトリセツ」という本が流行っているらしい。

 

ということを知ったのは、この本の著者である黒川伊保子さんが出演されている番組を偶然目にしたからです。黒川さんは脳科学の立場から妻の不機嫌や怒りの理由を説き、夫として妻のこの不機嫌や怒りに対し、どう対処すべきか、をまとめたのがこちらの本だそう。

 

私が偶然目にした番組では、妻を絶望させる5大セリフというテーマで黒川さんが女性脳の働きと紐づけて、男性の発言や行動の何が女性にとっての地雷になっているのかをご説明されていました。女性というのは複雑かもしれないです。

 

ちなみに最近では「夫のトリセツ」も出版されています。

 

男女は脳の働きがそもそも違うからすれ違う。男性脳と女性脳で見えている世界も違う。

その根本の違いを知らずして、お互いに不満に感じることが出てきてしまっている。

 

私たちがいつも言っている異文化、と少し似ているような気がしました。

 

普段、私たちがタイで実施している「異文化を理解し、多様なメンバーが在籍するチームを率いるために、リーダーとしてどうあるべきか?」のようなテーマでのワークショップは国や世代そして個人の違いに焦点を当てていきます。まずは違いがある、ということを認識して理解することから職場でのすれ違いは減っていきます。歩み寄ることができるのです。

 

最終的には個人の違いです、となるのですが、その前に男女の脳の働きの違いというのも職場でのすれ違いを引き起こしているひとつの原因として考えうる、と思いました。

 

もちろん、男女という点で区切るべきではないのですし、ジェンダー論を語ろうとしているわけでもないです。また男性でも女性性に寄る場合や女性でも男性性に寄る場合がありこれが全部正しいわけではないでしょう。

 

ただ、この男女の考え方やコミュニケーションの違いを理解し受け入れるためには、男女の脳の働きの違いに対する理解がひとつ役に立つのではないか。

 

そう思い立ち、(結婚していない)私は隠れるようにキョロキョロしながら「妻のトリセツ」と「夫のトリセツ」の2冊を抱え込みバンコク紀伊国屋書店のレジに向かいました。バンコクの日本人社会は狭いので。

 

 

2冊読んだ結論として言えることは、男女のすれ違いの根本はお互いが重要としていることの違いです。

 

「妻は夫に問題解決を求めてない。妻は夫に共感してもらいたい。」

 

これは、昔から言われているようなことかもしれませんが。

 

男性は問題解決にプライオリティを置き、それが一番の貢献だと考えること、また問題解決により、様々なストレスを解消していくという脳の働きをするそうです。

 

一方、女性は兎に角、共感が大事ということ。共感欲求が非常に高く、共感を得られないと急激にモチベーションが低下するそうです。

 

よく男性から見て、「女性同士の会話の展開・流れはまったく理解できない。結論のない意味の無い話を延々している」などと言います。しかしながら、女性同士は共感をし合い(黒川さんは共感のプレゼントを贈り合うと表現されています)共感によってストレスや不安を解消するのです。男性にとっては意味のない会話が女性にはとても重要。

私も女性の友人と延々中身のない話をする時間が、今のところ世界で一番楽しいのです。3時間とかの会話の結論を文字に起こしたらおそらく、文章1行で終わる内容です。

 

(ここからは、本から離れた私の所感を綴ります。)

 

職場において、男性上司と女性部下、女性上司と男性部下、上下のみならずメンバー間でも、

女性に振り回されているかもしれない男性の皆様、おつかれさまです!

 

男性側からすると、なぜ女性に歩み寄らなければいけないのか、と思うかもしれません。

歩み寄る、理解する・しないは自由です。しかしながら、うまく共感を活かすと明らかに女性のモチベーションやパフォーマンスがあがると脳科学では言われていますし、確かにそうだ、と思います。あと「ねぎらい」も。

 

そう、私は言いたいです。

 

「嘘でもいいから、お願いしますから、まずは大げさまでに共感してくれ。してください。

 

問題解決の云々はそこからでお願いします。」そうすれば、より機嫌よく動けるのです、と。

※細かい共感のテクニックは、ご興味あれば「妻のトリセツ」をご参照ください。

 

弊社は管理職対象のアセスメントも販売しているのですが、その中でコミュニケーションをいくつかに分類して今の行動レベルを測る箇所があります。男性管理職の方の結果を見ていて思うのは「質問力」「伝達」といった指示や問題解決を導き出す行動ができている方が多い中で「共感」ができている方はとても珍しい。「承認」も珍しい。たまに「傾聴」に長けた人はいますが、問題解決のヒントを得るために聴いている、というとらえ方が正しく感情に共感できているかどうかは定かではありません。

「あ、今、問題解決のための情報を拾いに傾聴しているな」と認識してしまいます。

女性でも、トップダウンや問題解決型の強いカルチャーで育った方は上記傾向が出ます。

 

日本においては、職場、ビジネス上では「問題解決」ということが一番に考えられ、問題解決思考で物事を考える訓練がなされて来たと思います。もちろんそれが重要であることは、暫く変わらないでしょう。(といってもそれも歴史の浅い話ですが)

 

日本においては、嘗ては女性であっても総合職、として採用された場合、男性性強めで職場に居ることが自然と求められてしまっていたのではないかと思います。男性と同じ立場で戦い、ゴールを明確にした目標思考、そして問題解決思考(今もそうですか?)。女性が男性性強めの時間を過ごしすぎると脳に負担をかけているので、いつか心身のバランスを崩します。そして会社での生き抜き方やありかたを変えざるを得ないタイミングが必ず来ます。

 

タイでは昔から、職場に女性が多く、また性別にとらわれない在り方をしている方も職場に多くいるので、その点が上手く合わさって優しい文化(ときにいきすぎているかも)が形成されている気がします。(ここについては、あくまで所感なので異論はあるでしょう)

 

私自身、男性・女性両方の気持ちが分かる(男性脳と女性脳をうまく使い分けられる)方によく救われることが多いのです。ロジカルと共感性を兼ね備えていて、こういう方がリーダーに向くのかなと思ったりします。もちろん個人差はあるでしょうが。

 

上司のみなさま、時には部下が言い訳やよくわからないことを延々と話すかもしれません。いちいち共感してられず、「で、何が言いたいの?」「で、どうしたらその問題は解決できると思う?」とも言いたくなるでしょう。

 

男性であれば、問題解決思考のアプローチを、女性にはまずは共感を。

 

男性脳と女性脳の違いを知ることは、リーダーやマネージャーにとって、絶対ではないけれどとも部下やメンバーの感性や良さを引き出す、またモチベーション高く働いてもらう上ではひとつ知っておいて損は無いセオリーな気がします。

 

リーダーやマネージャーの役割も異文化、世代、ジェンダーなどの違いを活かし、パフォーマンスを上げる。新しいものを生み出す、新しい価値を提供することが求められるようになりました。

 

トップダウンや指示・命令をするだけのマネジメント、恐怖政治のマネジメント、KPIだけを指標としたマネジメントは比較的、楽なのです。

そういったマネジメントに馴染んだ方、そういった厳しい環境で鍛えられた方、それが一番大事なんだと信じる方、はいるでしょう。時にはそういうシーンも必要だと思います。

 

マインドセットの転換は負担がかかります。

よく私たちは「変わるのは上司から、変わるのはリーダーから」というメッセージを伝えます。私自身、そのメッセージを聞くと耳と心が痛いです。

 

『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。』ダーウィン

 

 

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Photo Credit : Greg Jeanneau on unsplash

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