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AI NEWSLETTER Vol.32 2020年のはじめに思う~愛すること、未来志向であること、自分の頭で考えること~ – JANUARY , 2020

10 1月.2020

ニュースレター32号です。2020年最初の号ですので、年頭所感のようなことを書いてみたいと思います。

2020年のはじめに思う~愛すること、未来志向であること、自分の頭で考えること~


ますます世界の対立が鮮明になる2020年
2020年の初めから、大きなニュースが世界を驚かせました。アメリカによるイランの司令官殺害のニュースです。この文章を書いている1月6日時点ではまだその後の大きな動きは出ていませんが、2020年の世界平和に大きな影を落とす事件であることは間違いありません。

今回アメリカが、イランで英雄のような存在であるソレイマニ(Soleimani)司令官を殺害したことで、イランはかつてないほど怒りをあらわにし、報復を明言しています。対してトランプ大統領は、イランの報復があった場合、52施設を攻撃する、と述べています。

この「52施設」というのは、かつてカーター大統領の時代にテヘランのアメリカ大使館で人質となった人数「52人」とひっかけた数字です。トランプ大統領のイランへの強い恨みがここからもわかります。

アメリカとイランは数十年にわたって双方に強い憎しみを抱いている国家ですが、憎しみがさらなる憎しみを呼び、近年はさらに状況が悪くなっています。

このように、中東や東アジアをはじめとして、世界ではここ数年、国家間の対立があらわになっています。そんな時代に、我々はどんな考え方を持てばよいのでしょうか。


“愛”を持ち、“未来志向”で対話をする
私は、「憎しみは憎しみによっては止まず、ただ愛によってのみ止む。」という、ブッダの残した言葉に立ち返るべきだと思っています。

憎しみに対して憎しみを返していても、事態は決して良くなることはありません。憎しみを受けても、それでもなお相手の考えをリスペクトし、受容し、そして粘り強く対話をする姿勢を持てるかどうかが大事だと思います。怒りや暴力に訴えてしまっては、関係は振出しに戻ってしまいます。

かつてシンガポールの首相、リークワンユーは日本がシンガポールを占領していた時代に起こした華僑の虐殺事件について、“Forgive, but never forget.”(許そう、しかし忘れることは無い)という方針を出したと言われています。

過去に拘泥しすぎることなく、未来に向けた関係を作っていくための姿勢を表している言葉だと思います。(もちろんその背景には日本の誠意ある謝罪がありました。)私は、自らの感情をコントロールし、こうした未来志向の考えを持つという事がリーダーのあるべき姿勢の一つだと思っています。

もちろん国家間の対立は一筋縄でいかない部分もあるでしょう。しかし、こうした世界の秩序は我々一人一人の知性や教養のレベルをベースとして成り立っています。私たち一人一人が、普段からどんな姿勢で目の前の人間関係や組織内の対立に臨むのか、という意識を持ちたいものです。


「脱真実」の時代だからこそ、“自分の頭で考える”
またこうした対立の背景にあるのが、急速に進む“Post-Truth”、いわゆる「脱真実」と言われる現象です。

今、世の中にはフェイクニュースと言われるような情報が溢れ、何が真実なのかがますますわからなくなっています。もっともらしいニュースを作りあげ、加工した画像と共にインターネットに流せば、あっという間に真実かのように広まってしまいます。そしてそれが誤解や偏見を生み、対立の温床となっているのです。この現象は2020年代も加速するでしょう。

実はこうした現象は最近になって生まれたわけではなく、ずっと昔から存在します。「サピエンス全史」を著わしたハラリ氏は、「ホモ・サピエンスはポストトゥルースの種であり、常に虚構を作り出し、(略)共同体を団結させるのに役立ってきた」と述べています。

つまり、人間という種が団結するのに、虚構は必ず必要であったのです。その最たるものが宗教であり、そして国家でしょう。それらはある意味壮大なフィクションであり、また虚構であるとも言えます。インターネット以前の時代から、政府や新聞が伝えてきた情報が全て真実であったわけではありません。

しかし、メディアがマスメディアに限られていた時代に比べ、個人がメディアとしても発信できる時代ですから、より様々な虚構が世の中にあふれ、そして真偽の判別が難しくなってきています。

こうした時代こそ、我々一人一人が、人から聞いた情報に踊らされず、「自分の頭で考える」事が大事になる、と私は思います。

ある主張をそのまま受け入れるのではなく、対立する意見にも目を向けて比較する。またそれぞれの意見の根拠となる客観的事実、また一次情報を出来る限り押さえてよく吟味する。

こうした良い意味でのCritical(批判的)な姿勢が、これまでよりもますます重要になるでしょう。もし自分が信頼に足るリーダーとして社会で評価されたいのであれば、決して「ネットに書いてあったから」「~~さんが言っていたから」という視点だけで自分の意見を構築してはいけない、ということを肝に銘じておきたいものです。

以上、年の初めに、気になるニュースから我々が持つべき姿勢について述べてみました。私たち一人一人が、目の前の人や組織に対して、「愛情」を持ち、「未来志向で」臨み、そして常に「自分の頭で考えて」いくことが、良い組織、良い社会を作っていくのではないかと思っています。

最後に。

2020年、弊社Asian Identityチームは、理念をHarmonize Asian Uniqueness”と再定義しました。

私たちはこれからも、アジアの多様性を束ね、調和のある組織を作っていきます。そしてそれらをクライアント企業に提供できるよう、我々自身がそれを体現するチームであること(Show by own example)を何より大切にしていきたいと思います。

2020年もどうぞよろしくお願いします。

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Asian Identityでは2020年も、Asian Identity Collegeと題して様々な講座を展開します。人事向けの講座「HRカレッジ」や、リーダー向け講座「Identity Leadership Workshop」等、好評の講座がたくさんありますので是非ご案内をご覧ください。

 

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Credit: Photo by Jordan rowland from Unsplash
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