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最近は「企業理念」のお話を頂くことが多くて、この1年でもかなりの本数をサポートしました。企業理念の策定とは「言葉を紡ぐ仕事」なので、言葉のニュアンスにかなり敏感になります。今日は、最近よく出会う「信用」「信頼」という言葉について思うことを書いてみます。
色んな企業にお邪魔していると、多くの会社の企業理念に出てくるもののひとつは「信頼」です。一方で、「信頼」と似た概念で使われるのが「信用」です。時に同義語のように使われるケースも多いのですが、よく考えるとこの2つの概念って、対照的な概念だなと思います。
お金を借りる際に「信用力」という言葉も使いますが、信用力はまさに、これまでの業績・返済実績などをもとに判断されます。
社会において「その人が信用されるかどうか」は過去の実績の積み重ねでしかありません。今までやってきた行いで、その人はある程度、判断されてしまう。
一方で「信頼」は未来に向けたものです。仮にこれまでに失敗があったとしても、将来的に、もう一度この人に賭ける価値があるかどうか。そういう「将来の可能性に目を向けること」が信頼と表現することができると思います。
上記に書いた通り、信用力は一朝一夕には得られません。
なので「私を信用して下さい」といっても、それは難しい。自分がどうであれ、相手は自分のことをみて、信用するかどうか決めます。相手主導なのです。
一方信頼は、自分のあり方次第です。どれだけ裏切られても、もう一度相手を信頼することはできます。そういう「自分の意思」が信頼です。
会社を始めて間もないころ、経営者の先輩に「しんどいです。。」と弱音を吐いていた時に、「いいから1年1年、歯を食いしばって積み重ねてごらん。知らないうちに、社会からの信用が溜まってくるから」と言われたのを覚えていますが、これ最近本当にそうだなと思います。
やっぱり「続ける」って価値があるんですよね。
よく「Since19〇〇」といった表記をするブランドがありますが、「歴史がある」というのはそれだけ長きにわたり価値を提供する品質、経営体制、コミットメントがあるという証左(エビデンス)なんだと思います。
自分はタイで会社を7年やってますが、タイでも20年以上経営している先輩経営者はたくさんいて、そういう方々はやっぱりすごいと思っています。本人は決まって謙遜して「全然まだまだです」と言いますが、様々な困難を乗り越えて20年続けてきた、精神力・経営力があるということです。
経営者として「信用が積み重なる」というのは大きな資産です。お金を借りやすくなるのはもちろん、営業や、パートナーシップ、全てにおいてよい影響が出ます。なので、自分に信用が溜まっているということを、健全に自覚するのは良いことだと思います。
一方で、組織のリーダー・マネージャーとしては個々のメンバーに「信頼」を向けてあげないといけません。
自分の身近に「自分を信頼してくれる人」がいるかどうかで、頑張ろうと思えるかは変わってきます。
例えば今まで10回遅刻した人は、残念ながら「信用」は低下しているかもしれません。しかし、そういう人に、「どうせ11回目も遅刻するだろう」と思って接するのか、「きっと11回目の遅刻は無いはずだ」と思ってあげるかで、実際に遅刻するかの確率は変わってくると思います。
信用が低下してしまっている人に対して、「どうせコイツダメだろうな」という気持ちが芽生えてしまうのはある意味で当然です。それは本人が一番よくわかっています。
それでもなお、身近にいるリーダーは、その人に「信頼」の目を向けてあげて欲しいと思います。なぜなら、その人が復活できるかどうかのカギを最後まで握っているのは、上司だけだからです。
以上、今日は「信用」と「信頼」について書いてみました。
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